初心者がやりがちNG集:胡蝶蘭を弱らせる5つの習慣

579 views 9:13 PM 0 Comments 2025年5月27日

「胡蝶蘭って、やっぱり上級者向けの花なんでしょ?」

私が東京から岡山県倉敷市に移住して、初めて地域の園芸サークルに顔を出したとき、こんなふうに思っていました。

白く優雅な花びらが舞うような胡蝶蘭は、確かに”高級感”があって、なんだか敷居が高く感じるんですよね。

でも、地域の花好きさんたち—私が「花人(はなびと)」と呼んでいる方々—と交流を深めるうちに、驚くべきことがわかったんです。

胡蝶蘭って、実は初心者向けの花だったということ。

一番印象的だったのは、近所のおじいちゃんの一言でした。
「胡蝶蘭はな、放っとくのが一番なんじゃ。みんな可愛がりすぎて枯らしとる」

その通りでした。
私が最初に育てた胡蝶蘭も、毎日のように水をあげて、栄養剤も頻繁に与えて…結果、見事に枯らしてしまったんです。

でも今は違います。
胡蝶蘭との正しい付き合い方を学んだおかげで、我が家の胡蝶蘭は元気に二度咲きまで楽しませてくれています。

この記事では、私自身が経験し、そして地域の花人たちから教わった「胡蝶蘭を弱らせてしまう5つのNG習慣」をお伝えします。

これって実は、ちょっとした”思い込み”から生まれることが多いんです。
「植物には愛情をたっぷり」「毎日お世話するのが基本」みたいな、一般的な常識が、胡蝶蘭には当てはまらないことが結構あるんですよね。

目次

NG習慣1:とにかく毎日水やりしがち

胡蝶蘭は”乾かし気味”が好き

「植物には毎日水やり」という常識、胡蝶蘭には通用しません。

これが私の一番最初の失敗でした。
東京のマンション暮らしから田舎に引っ越して、「せっかくだから植物を育てよう!」と張り切っていた私。

毎朝、胡蝶蘭にも他の植物と同じようにお水をあげていたんです。
「今日も元気でね〜」なんて声をかけながら。

結果、2週間ほどで葉っぱが黄色くなり始めて、最終的には根っこが真っ黒になって枯れてしまいました。

地域の園芸サークルでこの話をしたら、ベテランの花人さんたちが「あ〜あ、やっちゃったね」という顔。

胡蝶蘭の正しい水やり頻度は、1〜2週間に1度なんです。

水やりのタイミングを「葉」で見極めるコツ

花人の田中おばちゃん(仮名)に教わった、超実践的な見極め方法がこちら:

  • 植え込み材(水苔やバーク)を指で押してみる
  • 完全に乾いていることを確認してから水やり
  • 受け皿にたまった水は必ず捨てる

「受け皿の水を捨てる」これ、めちゃくちゃ重要です。
私、最初は「もったいないから」とそのままにしていたんですが、これが根腐れの最大の原因だったんですね。

胡蝶蘭って、もともと東南アジアの熱帯雨林で、大きな木の幹にくっついて育つ植物なんです。
つまり、根っこは常に空気に触れていて、雨が降っても風ですぐに乾く環境で生きているんですよ。

だから、鉢の中がずっと湿っているのは、胡蝶蘭にとってはすごく不自然で苦しい状態なんです。

実体験:枯れかけた胡蝶蘭を復活させた方法

実は去年の春、近所の方から「もうダメかも…」という胡蝶蘭を譲ってもらったことがあるんです。

葉っぱはしなしな、根っこは一部が黒くなっていて、見るからに弱っている状態でした。

でも、花人のおじいちゃんのアドバイス通りに:

  1. 水やりを完全にストップ
  2. 黒くなった根を清潔なハサミで切り取り
  3. 新しい水苔で植え替え
  4. 2週間は水やりせず、霧吹きで葉っぱを軽く湿らせるだけ

これを実践してみました。

最初は「本当に大丈夫?」と心配でしたが、1ヶ月後には新しい根っこが出てきて、3ヶ月後には見事に花を咲かせてくれたんです!

この体験で確信しました。
胡蝶蘭は「放っておく勇気」が一番大切なんだなって。

NG習慣2:リビングの”映え”重視で置き場所を決める

日当たりが良ければいいわけじゃない

インスタ映えを狙って、リビングの一番日当たりの良い窓際に胡蝶蘭を置く。
これ、私もやってました。

「明るい場所に置けば元気に育つでしょ?」って思いますよね。
確かに植物には光が必要です。

でも、胡蝶蘭にとって直射日光は大敵なんです。

直射日光が引き起こす”葉焼け”とは?

私が最初に育てた胡蝶蘭、水やりの問題を改善した次の個体も、実は葉焼けで弱らせてしまったんです。

朝の光がサンサンと差し込む窓際に置いていたら、だんだん葉っぱの色が変わってきて。

最初は「日焼けして健康的な色になった?」なんて呑気に思っていたんですが、これが「葉焼け」でした。

葉焼けの症状をチェック!

  • 葉が茶色や黒く変色する
  • 白っぽく色素が抜けたようになる
  • 焦げたような斑点ができる

一度葉焼けしてしまった部分は、残念ながら元に戻りません。
しかも、葉焼けした部分から病気になりやすくなってしまうんです。

地域の花人さんに相談したとき、「胡蝶蘭は森の中の”木漏れ日”を好むんよ」と教わりました。

ベストスポットは「柔らかな明かり+風通し」

我が家のベストポジション発見ストーリー

移住してから色々な場所を試した結果、今の我が家のベストポジションは:

リビングの東向きの窓、レースカーテン越し

ここなら:

  • 朝の柔らかな光が適度に入る
  • 直射日光は遮られる
  • 自然な風の流れがある
  • 人が生活する場所なので温度も安定

地域の花人さんたちに聞いてみると、みなさん口を揃えて「人が快適な場所は、胡蝶蘭も快適」って言うんですよね。

確かに、胡蝶蘭の適温は18〜25℃。
これって、人間が心地よく感じる温度とほぼ一緒なんです。

避けるべき場所リスト

私が実際に失敗した場所も含めて、NGポイントをまとめておきますね:

  • エアコンの風が直接当たる場所(乾燥で弱る)
  • 窓際の寒い場所(冬は特に注意)
  • 玄関の寒暖差が激しい場所
  • 風通しの悪い場所(カビや病気のリスク)

NG習慣3:肥料を”お世話の証”としてあげすぎる

「可愛がる=肥料」は逆効果

「植物を元気にするには栄養が必要!」
これも、胡蝶蘭には当てはまらない常識の一つでした。

私、最初の頃は月に2〜3回は液肥をあげていたんです。
「愛情をたっぷり注いでる」感じがして、なんだか満足していました。

でも結果は…またしても枯らしてしまうことに。

地域の園芸サークルで相談したとき、ベテランの花人さんに言われた一言が衝撃的でした。

「胡蝶蘭にとって肥料は、風邪ひいとる人に焼肉食べさせるようなもんじゃ。元気な時だけ、ちょっとだけでええんよ」

胡蝶蘭に合う肥料の種類と頻度

そもそも胡蝶蘭ってどんな植物?

胡蝶蘭は着生植物といって、自然界では大きな木の幹や枝にくっついて育ちます。
土の栄養に頼らず、空気中のわずかな水分や、雨に含まれる微量の栄養だけで生きているんです。

つまり、もともと「栄養少なめ」で育つのが普通なんですね。

正しい肥料のあげ方

地域の花人さんたちから教わった、胡蝶蘭への正しい肥料の与え方:

【肥料をあげる条件】

  1. 株が元気で新しい根が出ている
  2. 気温が15℃以上(5〜9月の生育期)
  3. 花が咲いていない時期

【肥料をあげてはいけない時】

  • 弱っている時
  • 開花中
  • 冬の寒い時期(15℃以下)
  • 真夏の猛暑時(35℃以上)
  • 植え替え直後

無理のない”ごはん”のあげ方、教えます

我が家の肥料ルーチン

今の我が家では、こんな感じで肥料を管理しています:

春から秋の生育期限定で

  • 洋ラン専用の液肥を月1回程度
  • 規定濃度の半分に薄めて使用
  • 株の様子を見ながら調整

「規定濃度の半分」これ、めちゃくちゃ大事です。
胡蝶蘭は肥料焼けしやすいので、「薄めすぎるくらいがちょうどいい」というのが、地域の花人さんたちの共通見解でした。

実際、薄めの肥料を控えめに与えるようになってから、我が家の胡蝶蘭の調子がグンと良くなったんです。

肥料より大切なこと

花人のおばあちゃんが教えてくれた、印象的な言葉があります。

「肥料なんか要らん。それより風通しと、適度な湿度と、やさしい光。それだけで十分じゃ」

確かに、肥料に頼るより、基本的な環境を整える方がずっと大切なんですよね。

NG習慣4:花が終わったら捨ててしまう

胡蝶蘭は”何度も咲く”って知ってた?

これ、私も知らなかったんです。
最初に育てた胡蝶蘭が花を咲かせ終わった時、「お疲れさま〜」って感じで処分しようとしていました。

でも地域の花人さんに「もったいない!」と止められて、二度咲きの方法を教わったんです。

胡蝶蘭の株自体は50年以上生きる長寿植物なんですって。
つまり、花が終わっても、株はまだまだ元気で、適切にお世話すれば何度でも花を咲かせてくれるんです。

次の開花のためにやるべき剪定と管理

剪定の方法は目的によって違う

地域の花人さんたちから教わった剪定方法は、実は2パターンあります:

【1〜2ヶ月後に二度咲きさせたい場合】

  • 下から4〜5節を残して花茎をカット
  • 節から新しい花芽が出てくる
  • 比較的短期間で花が楽しめる

【来年しっかりとした花を咲かせたい場合】

  • 花茎を根元近くでカット
  • 株に栄養を蓄えさせる
  • より立派な花が期待できる

私は最初、「早く花が見たい!」と思って二度咲きにチャレンジしました。

実際の二度咲き体験記

花茎を下から4節目でカットして、支柱を外して、あとは普通にお世話を続けました。

最初の1ヶ月は何も変化がなくて「本当に咲くのかな?」と不安でしたが、2ヶ月目に入った頃、節のところから小さな緑の芽が出てきたんです!

その時の感動は今でも忘れられません。
「生きてる!」「新しい命が出てきた!」って、一人で興奮していました(笑)。

結果的に、最初の花より小ぶりでしたが、3ヶ月後には可愛らしい花を咲かせてくれました。

花が咲かない期間=”休憩時間”の付き合い方

花のない時期も楽しめる胡蝶蘭

花が咲いていない時期の胡蝶蘭も、実は魅力的なんです。

  • 光沢のある美しい葉っぱ
  • 太く白い根っこの生命力
  • 新しい葉や根が出てくる成長の過程

地域の花人さんの一人は、「葉っぱの美しさを楽しむのも醍醐味よ」と教えてくれました。

確かに、胡蝶蘭の葉って、濃い緑色でツヤツヤしていて、それだけでも十分観葉植物として魅力的なんですよね。

この時期のお世話のポイント

花のない時期は、株が力を蓄える大切な時間です:

  1. 水やりは通常通り(1〜2週間に1度)
  2. 新しい根や葉が出てきたら成長のサイン
  3. 葉っぱをウェットティッシュで優しく拭いてお手入れ
  4. 焦らず、株のペースに合わせて待つ

「植物の時間に合わせる」これって、都市部での忙しい生活では味わえない、地方暮らしならではの贅沢な時間の使い方だなと思います。

NG習慣5:プラ鉢のままインテリアに置いてしまう

鉢の素材と根の健康の深い関係

これは私も最近まで知らなかった、かなり専門的な話です。

地域の園芸サークルで、ベテランの花人さんが「鉢の素材って大事なんよ」と教えてくれるまで、正直あまり気にしていませんでした。

でも、これが実は胡蝶蘭の健康に直結する重要な要素だったんです。

通気性・排水性が大事な理由

胡蝶蘭は「呼吸する根っこ」を持っている

胡蝶蘭の根っこって、普通の植物と違って、根自体が呼吸をしているんです

自然界では木の幹にくっついて、根っこは常に空気に触れています。
だから、鉢の中でも根っこが「息苦しい」状態になると、すぐに弱ってしまうんですね。

植え込み材と鉢の正しい組み合わせ

地域の花人さんたちから教わった、鉢選びの基本ルール:

【水苔を使う場合】

  • 素焼き鉢を選ぶ
  • 水苔は保水力が高いので、通気性の良い鉢でバランスを取る

【バークを使う場合】

  • プラスチック鉢でOK
  • バークは水はけが良いので、保湿性のある鉢を選ぶ

私、最初は「プラスチック鉢の方が軽くて扱いやすいし、見た目もスッキリしてる」と思って、水苔なのにプラスチック鉢を使っていたんです。

結果、根っこが呼吸できずに根腐れを起こしてしまいました。

実例紹介:地元のおじいちゃん流”苔付き素焼き鉢”

伝統的な育て方との出会い

地域でひときわ美しい胡蝶蘭を育てているおじいちゃんがいるんです。
その方の胡蝶蘭は、なんと鉢の外側に天然の苔が付いていて、まるで自然の森の中にいるみたい。

「これはな、素焼き鉢の良いところなんじゃ」とおじいちゃんが教えてくれました。

素焼き鉢の隠れたメリット

素焼き鉢を使うと:

  • 鉢自体が呼吸する
  • 余分な水分を外に逃がしてくれる
  • 根腐れのリスクが格段に下がる
  • 時間が経つと自然な風合いが出る

確かに、おじいちゃんの胡蝶蘭の根っこは太くて白くて、すごく健康そうでした。

我が家でも素焼き鉢に変えてから、根っこの状態が明らかに良くなったんです。

プラスチック鉢から素焼き鉢への植え替え体験

去年の春、思い切って植え替えにチャレンジしてみました。

【植え替えの手順】

  1. 古い鉢から株を優しく取り出す
  2. 根っこに付いた古い水苔を丁寧に取り除く
  3. 黒くなった根は清潔なハサミでカット
  4. 新しい水苔を湿らせて根っこに巻く
  5. 素焼き鉢に植え込み

最初は「根っこを触って大丈夫?」とドキドキでしたが、意外と簡単でした。

植え替え後は2週間ほど水やりを控えて、霧吹きで葉っぱを湿らせる程度。
1ヶ月後には新しい根っこが出てきて、明らかに株が元気になったのが分かりました。

まとめ

胡蝶蘭は「繊細」だけど「気難しく」はない

地域の花人たちとの交流を通して学んだ最大の気づきは、胡蝶蘭は思っているほど難しい花ではないということでした。

確かに繊細な部分はあります。
でも、それは「わがまま」なのではなく、単に一般的な植物とはちょっと違うだけなんですよね。

人間に例えるなら、「和食党の人にいきなりステーキを毎日出す」ようなもので、好みを理解してあげれば、とても付き合いやすい相手なんです。

NG習慣を見直すことで、もっと身近な存在に

今回ご紹介した5つのNG習慣を見直すだけで、胡蝶蘭との関係は劇的に変わります:

  1. 水やりは週1〜2回、乾いてから
  2. 置き場所は明るい日陰、風通し良く
  3. 肥料は控えめに、株が元気な時だけ
  4. 花後は剪定して二度咲きにチャレンジ
  5. 鉢と植え込み材の組み合わせを正しく

ライター自身の気づき:「花は育てることで、暮らしの声になる」

東京にいた頃の私は、花といえば「買ってきて飾るもの」でした。
でも地方に移住して、胡蝶蘭と向き合う中で、全く違う世界が見えてきたんです。

花を育てるということは、その花の声を聞くこと

胡蝶蘭が「喉が渇いた」「ちょっと暑い」「今は休みたい」と言っているのを、葉っぱの色や根っこの状態で感じ取れるようになった時、なんだか植物と会話ができているような気持ちになりました。

そして、それは同時に自分自身の暮らしの声を聞くことでもあったんです。

忙しすぎて植物の世話もできないような生活は、きっと自分にとっても良くない。
植物が心地良い環境は、人間にとっても心地良い環境。

地域の花人たちが教えてくれたのは、胡蝶蘭の育て方だけじゃなくて、丁寧に暮らすということの意味だったのかもしれません。

もし今、胡蝶蘭にチャレンジしてみたいと思っているなら、ぜひこの5つのNG習慣を頭の片隅に置いて、気負わずに始めてみてください。

きっと、思っているよりもずっと優しくて、長く付き合える相手だということが分かるはずです。

そして、もし分からないことがあったら、お近くの園芸サークルや花屋さんに相談してみてくださいね。
きっと、素敵な花人との出会いが待っているはずです。